2026年7月30日・31日。私はこの2日間で、約140万円を失いました。
月間+80万円まで回復し、年初来マイナスの解消も見えていた矢先でした。
相場は一方向に急変し、損切りが立て続けに執行され、7月は−64万円で確定(詳細は7月の月次報告に書きました)。
原因とみられているのが、為替介入です。
この記事では、介入相場で実際に負けた一人の兼業トレーダーとして、「為替介入とは何か」「回数制限はあるのか(巷で言われるIMF3営業日ルールの正体)」、そして「私たちに何ができるのか」を、調べたことと身をもって学んだことの両方でまとめます。
あの2日間に何が起きたのか
7月30日、市場では6兆円を超える規模の円買い介入が入ったと推計されています。日銀が公表した当座預金残高の見通しと市場の事前予測に巨額の差が出たためで、報道でも「円買い介入、6〜7兆円規模か」と伝えられました。
※介入の正式な確定は、財務省が公表する「外国為替平衡操作の実施状況」を待つ必要があります。
介入相場の値動きには、はっきりした特徴があります。
- 一方向への急変動が、押し目をほとんど作らずに進む
- スプレッドが大きく広がる
- 「さすがに行き過ぎだから戻るだろう」という逆張りが、まとめて刈られる
普段なら十分に機能する損切り幅へ、あっという間に到達します。
私はルールの時刻通りにエントリーし、ルール通りに損切りが執行され続けました。1回1回は想定内の損失。それが2日間で積み重なった結果が、約140万円です。
そもそも為替介入とは
為替介入(外国為替平衡操作)は、財務大臣の判断で実施が決まり、日本銀行が財務大臣の代理人として実行します(日本銀行:外国為替市場介入事務の概要)。
建前は相場水準の誘導ではなく「過度な変動への対応」です。
方向は2種類あります。
- 円売り介入:円高を止めたいとき。円を売って外貨を買う
- 円買い介入:円安を止めたいとき。外貨準備のドルを売って円を買う。今回のケースはこちらとみられます
円買い介入の「弾」は外貨準備なので無限ではありません。ただし日本の外貨準備は世界有数の規模で、「すぐ弾切れになるだろう」という想定は危険です。
介入に回数制限はある?いわゆる「IMF3営業日ルール」の正体
介入のたびに市場で話題になるのが、「介入は半年に3回まで」「1回3営業日以内」という、いわゆるIMFルールです。正体を知っておくと、介入相場の見え方が変わります。
IMFは毎年、各国の為替制度を分類しています。その最上位「自由変動相場制(フリー・フローティング)」と認められる条件が、次のものです。
- 為替介入は過去6ヶ月間で3回以内
- かつ、1回の介入は3営業日以内に収まること
- 連続する3営業日以内の介入は「1回」とカウントされる
日本はこの「自由変動相場制」の分類を維持したい。だから介入は短期集中で終わりやすい。これが「3営業日ルール」の実像かなと。
ただし、注意点が3つあります。
① 罰則はありません。基準を超えても「違反」にはならず、IMFの統計上の分類が変わる(かもしれない)だけです。
② 財務省自身が「縛られない」と示唆しています。財務官は「介入の回数を制約するルールはない」と、IMF基準に言及したうえで発言しています。
③ よく似た別の基準と混同されがちです。米財務省の為替報告書には「12ヶ月のうち8ヶ月以上の一方的介入」といった為替操作国の認定基準がありますが、これは主に自国通貨売り(円売り)介入を睨んだもの。
今回のような円買い介入は、むしろ容認されやすいとされます。
私なりの理解は、こうです。
「3営業日・半年3回」は介入の「持ち時間」の目安にはなるが、「もう打ち止め」と決めつける根拠にはならない。連続介入は「1回」扱いなので、木・金に介入があったなら、週明けに続いてもまだ同じ「1回」の枠内です。
過去データで見る:2回目は、いつ来たのか
では実際、1回目の介入のあと「次」はいつ来ているのか。直近3回の介入局面を並べてみました。

並べてみると、同じパターンでした。
- 同じ波の中では、1〜2日で連発する(2022年10/21→10/24、2024年4/29→5/1、7/11→7/12、そして今回の7/30→7/31)
- 次の波は、約1〜3ヶ月後に来ている(29日後・73日後・91日後)
つまり「一度介入が入ったから、しばらく安心」ではありません。数日内の連発と、1〜3ヶ月後の第2波。この両方を想定に入れておくのが、過去データに忠実な構えかなと思います。
私は、介入を避けられたのか
正直なところ、どうだったのか振り返ってみます。
介入のタイミングを事前に知ることは、できません。介入は予告されず、事後に推計で判明するものだからです。この意味で「介入を避ける」は不可能でした。
一方で、ダメージの大きさは制御できたはずです。当時、円安進行で介入警戒の報道は増えていました。
「介入警戒圏では1回あたりのリスクを落とす」という運用をしていれば、同じ負け方でも金額は小さくできた。ここは私の反省点です。
時刻で機械的に売買するルールには、「感情で飛び乗らない」という強みがある一方、「相場の異常事態でも止まらない」という弱みがあります。
強みと弱みは表裏一体なんですよね。
だから、異常時のリスク調整だけは、ルールの外側に「安全弁」として持っておくべきだと学びました。
兼業トレーダーの現実的な構え
介入相場を身銭で経験して、「これだけは」と思う構えは3つです。
① 1回のリスク%を絶対に守る。介入で退場する人の多くは、介入そのものではなく「介入後の取り返しトレード」で口座を飛ばします。
1回の損失が資金の数%以内に収まっている限り、介入をくらっても退場はしません。私が140万円負けてもまだ立っていられるのは、これだけが理由です。
② 介入警戒時はロットを落とす。政府要人の発言(口先介入)が増えてきたら、警戒シグナルです。ポジションを全部閉じる必要はなくても、サイズは落とせます。
③ 「次も来る」前提で構える。上の図解の通り、介入は連発し、第2波は1〜3ヶ月後に来ています。IMFルールを「打ち止めの根拠」に使わないこと。
まとめ:介入も「想定内の異常」にする
為替介入は、避けられません。予知もできません。それでも、「介入とはどういうもので、どこまで続き得るか」を知っていれば、くらうダメージの大きさは自分で決められます。
私はこの授業料140万円を、「介入を想定内に組み込むきっかけ」に変えるつもりです。7月の収支の全体は月次報告に書きました。
負けても、退場しなければ次があります。何とかこのドローダウンを乗り越えて、プラ転をしたいと思います。
参考動画|今回の介入の「背景」を知る
今回の日米為替介入について、中田敦彦さんが「なぜアメリカが動いたのか」「米国債防衛のカラクリ」という視点で解説していて、これが面白かったです。
私の記事はトレーダー目線の「ルールと対処」の話ですが、こちらは介入の裏側にある国家間の思惑の話。あわせて見ると、分かりやすいと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=_ymW9Q-qJ_o
関連:2026年7月の月次報告 / その負けは、想定内ですか?※本記事は個人の経験と公開情報の整理であり、投資助言ではありません。介入の有無・規模の確定は財務省の公表をご確認ください。参考:日本銀行「外国為替市場介入事務の概要」、服部孝洋氏「IMFの介入ルールに関するメモ」、日本経済新聞・Bloomberg各報道、財務省「外国為替平衡操作の実施状況」







